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Someone to Watch Over Me 誰かに見られてる

アメリカ映画 (1987)

ハーレイ・クロス(Harley Cross)の代表作『ジャッカー』の1年前に公開された映画。ここでは、ハーレイは、主人公の刑事の息子を演じている。出番はあまり多くないが、一番最後に人質となって顔に拳銃を突きつけられるところは、『ジャッカー』を彷彿とさせる。

映画は、殺人を目撃した金持ちの若い独身女性の警護役に任命された、「なりたて刑事」の物語。刑事マイクには、妻と息子のトミーがいるが、警護を務めることになった女性クレアがあまりに美人なため、だんだんと心がなびいていってしまう。一方、殺人を目撃された犯罪者ヴェンザは、女性に「証言しないよう」脅しをかけていたが、刑事マイクの勧めもあって証言してしまう。ヴェンザは、警護の厳重なクレアを殺すため、クレアと親密な関係になっていたマイクの息子トミーを人質にとり、マイクをあやつろうとする… 名匠リドリー・スコットが、『エイリアン』『ブレードランナー』より後、『グラディエーター』『ハンニバル』の前に作った映画。本作の1つ後の『ブラック・レイン』のように、地味な犯罪映画を作っていた時期にあたる。

ハーレイ・クロスには、『ジャッカー』の時のようなカリスマ性はなく、どんな子役が演じても構わないような役柄。ハーレイらしさは、冒頭の朝食シーンでの多彩な表情に表れている程度。あらすじは、ハーレイの登場部分のみに限定する。


あらすじ

ニューヨークの警官マイクが、刑事に昇格したお祝いパーティから映画は始まる。そこで、大きなケーキを前に、マイク、妻と息子トミーの3人が並んで記念写真を撮ってもらっている。仕事関係のパーティなので、他にトミーの出番はない。その夜、殺人事件が起こり、たまたま、美人で金持ちのクレアが犯行現場を目撃してしまう。犯人のヴェンザに殺される恐れがあるため、警察はクレアに豪華アパートからの無断外出を禁じ、3人の刑事に交代で24時間監視させることにする。そのため、パーティで酒を飲んで遅く寝たマイクも、初仕事として叩き起こされ、署に呼び出される。
  

マイクは、すぐに帰宅し、一家3人で朝食。「どうだった?」と妻に訊かれ、「冴えない。殺人の目撃者のお守り役だ」。「いつまで?」。「ホシが捕まるまで」。その時、トミーは冷蔵庫から出したジュースをコップに注ごうとして、ビンごと床に落としてしまう(1枚目の写真)。トミー:「しまった」。母:「いいから、来て食べなさい。冷めちゃうわよ」。その時、父がいきなり、「お前たち、お袋と一緒にいろ」と言い出す。驚くトミー(2枚目の写真)。嫌そうな顔ではない。しかし、妻ははっきりとNO。舅嫌いは日本だけではなさそうだ。マイクは、護衛が深夜勤務なので、2人だけで夜を過ごすのは危険だと主張する〔治安の悪い場所に住んでいる〕。以前 警官だった妻は、トミーがいるので、曖昧に「ねえ、今でも使えるわよ」と言う。「なら、手元に置いておけよ」。そこに、トミーが割り込む。「何を、手元に置いてくの?」。両親は口を揃えて「何も」。子供に、銃の話など聞かせたくないのだ。しかし、トミーは、「銃? なら2階の押入れだよ」と平然と言う(3枚目の写真)。「銃の場所、なぜ知ってる?」。「全部の場所 知ってるから」。「スケボーは別だろ、いつも放ったらかしだ」。「まあまあ、抑えて(Lay back, mack)」(4枚目の写真)。「何だそれ? “まあまあ、抑えて”」〔ワザと真似しておどけた〕。それを聞いて、笑うトミー(5枚目の写真)。母が、「お願いだから、週末は空けて。土曜の夜、交代すれば、週末を過ごせる」と頼んでいる間に、トミーはうっかりひどい味のするものを口に入れてしまい、思わず吐き出す。「ピクルス?」(6枚目の写真)。その渋い顔を見た父が、「まあまあ、抑えて」とやり返す。これには、トミーも大笑い(7枚目の写真)。この場面だけは、ハーレイらしさが出ているので、いろいろな表情を並べてみた。
  
  
  
  
  
  
  

朝帰って来て、昼間寝ていて、車を空ぶかしする音で目覚めたマイク。母が、トミーにアクセルを踏ませ、キャブレターの調整をしていたのだ。昨日とは違い、背広姿でのご出勤。護衛する女性のアパートがあまりにも立派なので、Yシャツにコートでは、あまりに貧弱だと思ったからだ。その姿を見た妻。「記事を読んだわ。こんな美人だなんて 言わなかったわね」。背広とネクタイを2人に見せ、「どう思う、OKか?」と訊くマイク。「背広姿って、信じられないくらいハンサム」。「カッコいいよ、パパ」(写真)。ところが、この自慢のネクタイも、金持ちのクレアからは、「他にはネクタイなかったの? もう少し控え目なのは」と言われてしまう。クレアが、美術館で開催されるフォーマルなパーティに行くことになり、このネクタイでは不適切だと言う訳だ。途中、高級ブティックに寄り、洗練されたネクタイを買い与えられるマイク。この辺りから、2人の関係は、単なる護衛される側とする側から徐々に外れて行く。ネクタイを女性に買ってもらったという話は、その後、妻との間で物議をかもしただけでなく、妻に疑惑の種をまくことになる。
  

クレアに殺人犯の面通しをしてもらった翌日、家族で野球観戦に行くので、トミーも大はしゃぎ(1枚目の写真)。しかし、そこに電話がかかってくる。両親が「とるな」「とらないで」と言う間もなく、トミーが電話を取ってしまい、父が上司からの電話を受けることに。そして、マイクは、昨夜、面通しをして収監されたばかりの殺人犯が、弁護士の巧妙な策略で、釈放されたことを知らされるハメに。警察としても、護衛を続けざるをえなくなり、トミーにも すぐ署に来いとの命令。トミーは、「行けなくなっちゃった」と落胆する(2枚目の写真)。その夜、マイクはクレアと最初のキスを交わす。関係はその後も進み、妻にも悟られ、「仕事を降りるか、帰宅しないか」の選択を迫られる。答えに詰まり、妻は泣いて去って行く。
  
  

護衛すべき女性との行き過ぎた関係がバレて、マイクは停職処分に。自宅からは締め出されているので、息子に会おうと、学校からの帰宅途中でつかまえる。「やあ、元気か?」。「うん、まあね」(1枚目の写真)。父が、「なあ、今夜、夕食一緒にどうだ?」と誘うが、母の用事で無理だと断られる。「で、今夜は何するんだ?」。「射撃」「あそこで2人で暮らすには必要なんだって」(2枚目の写真)。路上に停めた車から、その様子をじっと伺う殺人犯。その夜、射撃練習場では、母が、壁の人物像に向かって、銃を連射している。精度は高いが、なぜか、着弾点は下半身に集中している。じっと見ていたトミー(3枚目の写真)が、「心臓を狙うんだと思ってた」と言う。弾を外している訳ではないので、不倫している旦那への当て付けなのだろう。
  
  
  

マイクの自宅付近で記念式典があり、その会場でひたすらマイクを待つクレア。そこに、停職中のマイクが現れる。もう、どうにでもなれという姿勢だ。同僚の刑事が止めるのも構わず、クレアとダンスをするマイク。そこに、緊急の電話が入ったと刑事が駆け寄る。電話から、トミーの泣き声が聞こえるというのだ。急いで電話を取るマイク。「誰だ?」。「ジョーイ・ヴェンザだ」「そこにいると思ってたぜ。家に戻るのに2分やる。さもなきゃ、家族を殺す」。「家族に手を出すな。息子と話をさせろ」。「話せ」。そして、トミーの「パパ」という声が聞こえる。家に急行するマイク。クレアと、刑事達も一緒だ。マイクは、単身、家に入って行く。「丸腰だ、ヴェンザ。一人で来たぞ。俺の話を聞け。でないと、ここから逃げられんぞ」。「女は 連れてきたろうな」。「連れて来た。外にいる」。こうしたやりとりの間も、トミーにはずっと銃が突きつけられている(1枚目の写真)。マイクは、女性に「クレア!」と叫び、女性は「マイク!」と叫び返す。「本物だと どうして分かる?」。「家族を解放しない限り、彼女はここに来ない」。「なんで、彼女がここに来る?」。「俺を信じているからだ。だから言う通りにする」。「でたらめだ!」。「クレア、来てくれ。我々は玄関の突き当たりにいる」。足音が聞こえる〔実は、刑事が身代わり〕。「止まって。そこにいて」。「解放しろ。じゃないと、来ない」。「人質が先だ。それまでは、誰も解放せん」。「俺の子供を放せ」。「誰も放さん」。「子供を放したら、俺が身代わりになる。じゃなければ、彼女は来ない」。「俺に命令するな!」。「約束する! 放せ!」。殺人犯はトミーを床に突き飛ばし、代りにマイクに銃を突き付ける。「彼女を呼び入れろ」。「クレア、入って来るんだ」。「話してくれ。どこに行く気だ? カナダ? メキシコ?」。「うるさい、黙れ」。2人が話している間に、トミーが上を見上げると、手に届く所に銃が隠してある。それを見て、トミーは、手をゆっくりと動かして、銃を手に入れる(2枚目の写真)。その瞬間、母が銃を取り、「伏せて!」とトミーに叫び、テーブルを倒してトミーを守ってから、ヴェンザに向けて銃を連射。刑事の突入前に、犯人は事切れた。
  
  

家の外に集まったパトカー。マイクは、トミーに寄って行き、「ビル・ヒコックみたいだったな」と讃える(1枚目の写真)。ビル・ヒコックとは、西部開拓時代のガンマン・名保安官だ。トミーを抱きながら、妻に歩み寄って行くマイク(2枚目の写真)。「家に戻りたい」「愛してるよ、エリー」。「私もよ、マイケル」。抱擁する2人を見て、待機した車の中で嬉しそうに笑うトミー(3枚目の写真)。
  
  
  

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